子宮頸がん検診陽性で受ける精密検査

子宮頸がん検診で陽性という結果が出ると、多くの女性が「子宮頸がんだ!」と思い、絶望的な気持ちになるかもしれません。

しかしどんながんでもそうですが、初期検査で引っかかったからといって、すべての人ががんとは限りませんので、まずは落ち着いて精密検査を受けることが大切です。

子宮頸がん検診の精密検査は、「細胞診」の結果によって変わってきます。

ウイルス感染の有無を調べる「HPV検査」のほか、より正確な診断ができる「コルポスコピー検査」や「組織診」などがあり、細胞の異型度に応じて決定されます。

ここでは、子宮頸がん検診で陽性が出た後に受ける精密検査について詳しく解説していきましょう。

子宮頸がんで精密検査が必要になる「陽性」とは?

現在の日本で、もっとも広く実施されている子宮頸がん検診は「細胞診」です。経膣的に子宮頸部の細胞を採取し、その形を観察することで異常がないかどうかを調べます。

子宮頸部の細胞は一気にがん化するわけではなく、HPV(ヒトパピローマウイルス)に感染した後、まずは「異形成」という段階に入ります。

ですから細胞診の結果も、「子宮頸がんか異常なしか」の2択ではなく、細胞の異型度によっていくつかのレベルに分けられるのです。

何年か前までは、クラスT〜クラスXまでの5段階で表す「クラス分類」が広く用いられていましたが、最近はより分かりやすくした「ベセスダ分類」が使われています。

これによって細胞の異型度のみならず、推定される病変についても把握しやすくなりました。

一般的には、「ASC-US」以上の結果が出た場合に、精密検査が必要となります。

扁平上皮系の異常
細胞診の結果 推定される病理診断 精密検査
NILM(陰性) 炎症や萎縮、ホルモン性の変化など 1〜2年に1度の子宮頸がん検診
ASC-US(意義不明型扁平上皮細胞) 軽度扁平上皮内病変の疑い HPV検査を受け、結果に応じてコルポスコピー検査と組織診
ASC-H(高度病変を除外できない異型扁平上皮細胞) 高度扁平上皮内病変の疑い コルポスコピー検査と組織診
LSIL(軽度扁平上皮内病変) HPV感染・軽度異形成
HSIL(高度扁平上皮内病変) 中等度〜高度異形成、上皮内がん
SCC(扁平上皮がん) 浸潤がん・微小浸潤がん
腺上皮系の異常
細胞診の結果 推定される病理診断 精密検査
AGC(異型線上皮細胞) 腺異型もしくは腺がんの疑い コルポスコピー検査と組織診に加え、必要に応じて円錐切除術もしくは子宮全摘術による組織診
AIS(上皮内腺がん) 上皮内腺がん
腺がん 腺がん
その他の悪性腫瘍 その他の悪性腫瘍 必要に応じた検査

※日本婦人科腫瘍学会「ベセスダ分類に基づく細胞診の分類」参照

ちなみに子宮頸がん検診(細胞診)を受けた人のうち、精密検査に進むのはおよそ1%です。

さらにその中から実際に子宮頸がんの診断を受ける人は、検診受診者の0.1%未満とされていますので、確率的には非常に低いといえます。

子宮頸がんの精密検査−HPV検査

細胞診の結果、「ASC-US」(意義不明型扁平上皮細胞)という結果が出た場合は、まずHPV検査が行なわれます。

HPV検査とは、子宮頸部の細胞がHPV(ヒトパピローマウイルス)に感染しているかどうかを調べるための検査です。細胞診と同じく、経膣的に採取した細胞を使います。

HPV検査で調べるのは、特に子宮頸がんの原因になりやすい「16型」や「18型」をはじめとする、ハイリスク型HPVです。

もしも細胞診で引っかかったとしても、HPVに感染していない場合は子宮頸がんのリスクはきわめて低いということになりますので、そのまま経過観察をします。

実際「ASC-US」の結果が出ても、あくまで一時的なもので、自然に陰性へと戻っていく人も少なくありません。

しかしHPV検査でも陽性が出た場合は、子宮頸がんへと向かう「異形成」である可能性が否定できませんので、必要に応じてさらに詳しい検査を行ないます。

子宮頸がんの精密検査−コルポスコピー検査と組織診

細胞診・HPV検査ともに陽性が出た場合、もしくは「ASC-H」以上の扁平上皮細胞の異常が見られた場合は、コルポスコピー検査と組織診が行なわれます。

コルポスコピー検査とは、「コルポスコープ」という膣専用の拡大鏡を使って、子宮頸部の様子を目で確認する検査です。

コルポスコープは最大40倍まで拡大できるため、肉眼では見えない細胞の異形成や、がんの初期病変を発見することができます。

その際、3%に薄めた酢酸水溶液を子宮膣部に塗布すると、異形成やがん化している細胞の表面が白っぽく濁りますので、その様子を確認することもあります(加工診)。

続いて行なわれるのは「組織診」です。コルポスコピー検査で異常の疑われる部位があった場合、そのまま観察しながら「切除鉗子」という器具を使って、もっとも疑わしい部位の組織を採取します(ねらい組織診)。

細胞診と違って多少の痛みを感じることもありますが、子宮頸がんの診断をつけるためには重要な検査ですので、なるべくリラックスして受けることが大切です。

採取した組織は病理検査にかけられ、最終的に子宮頸がんかどうかの診断がつきます。

腺上皮系の異常が疑われた場合の精密検査

上記は、子宮頸部の細胞の中でも、膣に近い「扁平上皮」の異常が疑われる場合に実施される精密検査です。

一方、膣からやや遠いところにある「腺上皮」の異常が疑われる場合は、別の精密検査が必要になることもあります。腺上皮は奥まっていて見えにくく、組織も採取しにくいため、診断が難しいのが難点です。

コルポスコピー検査はしますが、どこに病変があるのかを確認できないケースもありますので、その場合は子宮頸部の一部を切除して取り出す「円錐切除術」を行なわなくてはいけないこともあります。

円錐切除術は、初期の子宮頸がんの治療としても行なわれる、比較的簡単な手術ですが、腺がんが疑われる場合はより深めに子宮頸部を切除する必要があるため、不妊や流産、早産などのリスクが高まります。

もし取り出して調べた結果、何もなかったとしたら患者さんは納得できない気持ちになってしまいますが、子宮頸がんの中でも腺がんは予後が悪く、リンパ節や卵巣にも転移しやすいため、確実に発見するためにも致し方ない選択となることもあるのです。

さらに円錐切除術でも正確な診断が難しいと判断される場合は、検査のために子宮の全摘手術を勧められることもあります。

病気の発見のためにどんな検査をどこまでするのかは、患者さんと医師でしっかりと話し合いながら決めることが大切です。

不安や疑問がある場合は早めにセカンドオピニオンを求めるなどして、患者さん自身がもっとも納得できる方法を探すようにしましょう。

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