子宮頸がんの異形成(クラス)の種類と治療方法

子宮頸がん検診で行なわれる「細胞診」では、採取した細胞を専用の液で染色した上で、顕微鏡を使って形を観察します。

結果は、細胞の形の変化によっていくつかの段階に分かれますが、その評価分類の一つが「クラス分類」です。

近年は「ベセスダ分類」という新しい評価方法が国際的に用いられていますが、クラス分類は日本で長い間スタンダードだった分類で、現在も多くの女性になじみがあるかもしれません。

ここでは子宮頸がんのクラス分類と、クラスごとの治療方法についてまとめてみました。

子宮頸がんの細胞診の結果は、異型度によってクラス分類される

子宮頸がんの細胞診では、医師が器具を使って、子宮頸部の細胞の一部をこすり取ります。

こうして採取された細胞はスライドガラスに塗られ、専用の染色液で着色することで、形がよく見えるようになります(パパニコロウ染色)。それを専門家が顕微鏡で調べ、異常な形の細胞はないかどうかを確認するのです。

子宮頸がんでは、正常な細胞が一気にがん化することはなく、原因ウイルスであるHPV(ヒトパピローマウイルス)に感染した後、長い時間をかけて「異形成」という段階を経ます。

異形成とは、細胞が異常な形に変わっている状態で、軽度異形成、中程度異形成、高度異形成などに分かれます。

とはいえ、異形成の細胞すべてががん化するわけではなく、中にはそのまま正常な細胞へと戻っていくものもあります。子宮頸がんの場合、高度異形成から子宮頸がんへと進むのはおよそ20%です。

日本の子宮頸がんの細胞診では、こうした異型度によって5つのクラスに分類する評価方法が行なわれてきました。

子宮頸がんの「クラス分類」とは

子宮頸がんの細胞診でのクラス分類は、T〜Xまでの5段階で表されます。

子宮頸がんの細胞診でのクラス分類
クラス分類 所見
クラスT 異常なし
クラスU 異常細胞があるが良性
クラスVa 軽度〜中等度異形成
クラスVb 高度異形成
クラスW 上皮内がん
クラスX 浸潤がん・微小浸潤がん

※日本母性保護産婦人科医会の分類(日母分類)による

このうち、クラスTとクラスUは、特に精密検査の要らない段階です。

クラスTは正常な細胞しか認められない状態、クラスUは異常な細胞を認めるけれども、細菌による炎症やホルモンによる変化など、悪性ではないケースになります。

クラスUでも心配になってしまう女性も多いかもしれませんが、ほとんどは一時的なもので、やがてクラスTの状態へと戻っていきます。

ごく一部のみ、そのままクラスVへと移行する場合もありますが、医師の指示にしたがって定期的にがん検診を受けている限り、突然がん化するようなことはありません。

慎重な経過観察や精密検査が必要になるのは、クラスV以上の場合です。クラスWとXは、ほぼ確実に子宮頸がんが認められる段階になります。

クラスVはaとbの2つに分かれ、aは軽度〜中等度の異形成、bは高度異形成です。

現在の日本では、念のためにクラスVbからを治療の対象としています。

実際、高度異形成のすべてが子宮頸がんになるわけではないのですが、「悪い芽は早めに摘み取る」という意味で、手術(円錐切除術)を行なうことが普通です。

しかしクラスVaの場合、そのままVbに進行するものと、クラスU以下に戻っていくものの両方があるため、数ヵ月ごとに検査をして経過を観察する必要があります。

クラス分類の中でもっとも評価が難しく、患者さんが不安になってしまうケースといえるかもしれません。

このような5段階のクラス分類は、患者さんにも結果が分かりやすい点がメリットなのですが、HPV感染の有無が考慮されていないなど、医学の進歩にともなってやや時代遅れになってきました。

そのため最近は国内でも、国際的に使われている「ベセスダ分類」が採用されています。

子宮頸がんのクラス別・治療法

子宮頸がんの治療法は、精密検査でより詳しい診断をしてから決めますが、多くの場合、以下のような治療法が検討されます。

クラスVbとクラスW…円錐切除術

クラスWまでであれば、基本的には子宮を温存することができます。治療は、子宮頸部の一部を円錐状に切り取る「円錐切除術」が一般的です。

切除範囲は、病変のある部位にもよりますが、膣から遠い「腺上皮」に発生している場合、深めに切り取る必要があります(切除範囲が広い場合は、不妊や流産、早産などのリスクが高まります)。

また腺がんは卵巣やリンパに転移しやすいため、状態によっては早期であっても子宮全摘手術を勧められることも少なくありません。

円錐切除術は、経膣的に行なえる手術ですので、開腹せずに受けることができます。

手術器具も、以前までは主にメスが使われていましたが、最近では高周波電流やレーザー、超音波メスなど、より出血の少ないものが使われるようになっています。

クラスX…単純子宮全摘術・広汎子宮全摘出術

クラスXは浸潤がんもしくは微小浸潤がんですので、多くの場合、子宮の全摘手術が必要になります。

病変がまだごく浅い段階にとどまっている場合(ステージTA1期)は、円錐切除術の対象になることもありますが、まれなケースです。

病期がステージTA2以上になると、膣壁などにがんが広がっていくことから、卵巣や膣の一部、リンパ節なども一緒に切除する「広汎子宮全摘出術」が行なわれる可能性が高くなります。

その他、必要に応じて放射線や抗がん剤を追加することもあります。

このように、子宮頸がんは進行すればするほど子宮を失うリスクが高くなりますので、早期発見が大切です。

定期的に検診を受けていれば高確率で発見できるがんですから、20歳以上で性交渉の経験がある女性は、必ず検診を受けるようにしましょう。

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