子宮頸がんの発症リスクを高める原因まとめ

子宮頸がんは、他の多くのがんと異なり、生活習慣による病気ではありません。子宮頸がんの原因は、HPV(ヒトパピローマウイルス)というウイルスへの感染です。

HPVは「乳頭腫」と呼ばれるイボを形成するウイルスで、100以上の種類があります。子宮頸部への主な感染経路は、性交渉です。

決して珍しいウイルスではないため、性交渉の経験がある女性であれば、誰でも感染の機会があります。

ただし、子宮頸がんの中でも「腺がん」というタイプの中には、HPV以外の原因もあると考えられています。

ここでは、特に子宮頸がんのリスクを高めるHPVの型や、HPV以外の原因などについてご紹介していきましょう。

子宮頸がんの原因は「ハイリスク型HPV」

遺伝性など一部の例をのぞき、多くのがんは生活習慣の積み重ねによって発症するといわれています。喫煙や飲酒、食生活、紫外線の浴びすぎなどです。

一方、子宮頸がんはウイルス感染が原因となります。原因ウイルスは「HPV(ヒトパピローマウイルス)」で、子宮頸部へは性交渉によって感染します。

性交渉によるウイルス感染というと、AIDSの原因ウイルスである「HIV」を思い浮かべる人も多いと思いますが、HPVはもっと身近に存在するウイルスです。皮膚や粘膜に存在し、その型は100種類以上にも及びます。

HPV自体はごくありふれたウイルスなのですが、中にはがん化をうながす危険なタイプがあります。それが「ハイリスク型」と呼ばれるHPVです。

特に「16型」と「18型」のHPVが子宮頸がんと深い関わりがあり、日本女性の子宮頸がんのおよそ70%がこれらのHPVによって発症するといわれています。

HPVの種類
ローリスク型 6型・11型・40型・42型・43型など
ハイリスク型 16型・18型・31型・33型・35型・39型・45型・51型・52型・56型・58型・59型・68型など
子宮頸がんの発症リスクを高めるHPV 16型・18型・31型・58型など

ちなみにローリスク型の中でも、特に6型と11型は、「尖圭コンジローマ」という性感染症の原因ウイルスとして知られています。

ローリスク型であれば、性交渉によって感染しても、外陰部にイボが生じるだけで、がん化はしません。

同じHPVでも、その性質は型によって大きく異なるのです。

「HPV感染=子宮頸がん」とは限らない!

子宮頸がんの原因がウイルス感染であると聞くと、意識しだいで予防できるのではないか、と思う人も多いかもしれません。

しかしHPV自体はありふれたウイルスですので、性交渉の回数などに関わらず、誰でも感染する可能性があります。実際、成人女性の80%以上が、生涯に一度はHPVに感染するといわれるほどです。

感染経路が性交渉ということもあり、正しい知識のない人の中には「子宮頸がん=性感染症」というイメージを持つ人もいますが、子宮頸がんは性感染症とは異なります。

たとえば、同じHPVが原因になる尖圭コンジローマは、原因ウイルスに感染すると70%以上の確率で発症しますが、子宮頸がんの発症率は非常に低めです。

つまり、ハイリスク型のHPVに感染したとしても、実際に子宮頸がんを発症する女性はごく一部ということになります。

HPVに感染しても、多くの場合は自らの免疫力によって、2年以内に体内から自然とウイルスが排出されます。

しかし一部の女性はそのまま持続感染し、「異形成」という細胞の変化を経て、最終的に子宮頸がんへと移行するのです。

米国がん協会の調査によると、16型もしくは18型のHPVに感染した女性のうち、およそ10%の人が3年以内に、また20%の人が10年以内に異形成(前がん病変)に至ると報告しています。

免疫力が低下していると、子宮頸がんの発症リスクが高まる

このように、HPVに感染してもすべての女性が子宮頸がんになるわけではなく、むしろ発症に至るのはごく一部の女性です。

通常は免疫力によってウイルスが排除されますので、逆にいえば免疫力が低下しているとHPVに持続感染しやすくなり、子宮頸がんの発症につながると考えられます。

ですから予防のためには、食事や睡眠などに気をつけて健康的な生活を送ることが大切です。

また性感染症を放置した場合や、病気の治療で免疫抑制剤を使用している場合なども免疫力が低下しやすいため、HPVに持続感染しやすいといわれています。

もちろん喫煙や過度の飲酒なども、免疫力の低下につながりますので注意が必要です。

ただし上記にあてはまらない人でも、100%確実にHPVの持続感染を防げるわけではありません。もっとも重要なのは、「定期的に子宮がん検診を受けること」です。

幸い、子宮頸部は精度の高い細胞診を行なえる部位ですので、定期的に受けていれば、がん化する前の異形成の段階で発見できます。

さらに見逃しを少なくするためには、細胞診と同時に「HPV検査」を受けることが推奨されています。HPV検査は、子宮頸部の細胞にハイリスク型のHPVが感染しているかどうかを調べる検査です。

これら2つの検査を併用することで、子宮頸がんの早期発見率は大幅に高まることが分かっています。

HPV以外の原因による子宮頸がんもある!?

ほぼすべての子宮頸がんは、ハイリスク型HPVへの感染が原因となりますが、子宮頸がんの中でも「腺がん」というタイプでは、まれにHPVが検出されないこともあります。

腺がんは、子宮頸がん全体の中では比較的少ないものの、子宮頸部の中でも奥まった部分に発生するため、細胞診で見逃されやすい点がネックです。また卵巣やリンパ節に転移しやすいなど、やや厄介な性質を持ちます。

腺がんも、多くはハイリスク型HPVへの感染が原因となりますが、ごくまれにHPVが存在しないケースがあり、原因がはっきりとしないこともあります。

現在分かっていることとしては、1971年まで流産抑止剤として使われていた「ジエチルスチルベストロール(DES)」という薬の作用で、腺がんの発症リスクが高まる、ということです。

発がん性が確認されてから、使用は全面禁止となりましたが、万が一母親がその薬を使用していた場合、胎内で暴露していた女児には発がんのリスクがあります。

とはいえ、ほぼすべての子宮頸がんはハイリスク型HPVへの感染が原因です。一度でも性交渉の経験がある女性は、ぜひ定期検診を受けて早期発見に努めましょう。

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